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【特別インタビューVol.2 株式会社高島屋社長 木本 茂 】 2015.08.10

■ 総利益の20%を占めるシンガポール高島屋


2012年12月、高島屋が上海の古北地区でオープンした。高島屋では現在海外事業の重点を中国・ASEANへとシフトしている。2010年にはニューヨークの五番街にあった高島屋を売却し、この売却資金も中国・ASEANシフトへの資金源としている。日本のGDPは10年間にわたり横ばいの状態が続いているが、中国、ASEANは共に5%を超える成長率を示し続けている。この成長を自らに取り込むのが高島屋の大きな目標だ。高島屋の国内百貨店、グループ会社、海外事業を含めた2015年2月期の利益は320億円だが、そのうちの63億円がシンガポール高島屋によって占められている。こうした成功例をさらに生み出すことが中国・ASEANで期待されている。


■ 500億円の海外投資


高島屋は2019年までの5年間に2300億円投資するという長期プランを出している。このうち500億円が海外投資に充てられる予定だ。海外投資の具体的な例の一つにベトナムのショッピングセンターがある。ベトナムの首都ホーチミンにはすでに2014年にイオンがショッピングセンターを2つ出しているが、高島屋が出すのは百貨店と専門店から構成されるショッピングセンターだ。具体的には玉川高島屋の様子を想像してもらいたい。この形態はシンガポール高島屋と似た形態のものだ。 また2017年にはタイのバンコクにサイアム高島屋の出店が計画されている。バンコク市内を流れるチャオプラヤ川沿いの12万平米のショッピングモールに入る予定で、広さは3万6千平米となる。


■ シンガポール高島屋、成功の理由


シンガポール高島屋はなぜ全利益の約20%を稼ぎだすまでに成功したのだろうか。その成功の理由を木本氏は徹底した現地マーケットへの対応、そしてシンガポールの経済成長の波に乗ることができたからだと説明する。高島屋がシンガポールに進出したのは20年前、始めの10年は赤字だった。しかしシンガポールのGDPが徐々に上昇し、ハイクオリティーな物を求める人々が増えてきた時に、先行投資で作られていた高島屋が求められるようになったのだ。
シンガポールに特徴的なのはツーリストの来店者が多いことだ。シンガポールは東南アジアの各国からアクセスしやすいため、自国に高級感のあるショッピングセンターがない近隣の富裕層がシンガポール高島屋を目指して訪れるのだ。そのため東南アジアでもその名は広まっており、自国にも高島屋を作ってもらえないかという声が高島屋に掛かることも多い。タイとベトナムへの進出もそうした経緯から生まれた。


■ 上海高島屋の新たな試み


上海の高島屋は富裕層のレジデンスが立ち並ぶエリアにある。始めこそ多少の厳しさはあったが今では売上を徐々に伸ばしており、まだ赤字はあるとは言うものの、昨年の営業収益は前年比で21%の伸びを示している。上海市内には過剰と言えるほど多くの百貨店が軒を並べているが、その中には前年比で営業収益が落ち込んでいるところも少なくない中での成長だ。現在では平均して1日1万人ほどの来客が訪れているのだという。
2015年6月19日にはここで新たな試みがスタートした。輸入商品保税展示取引区が開設されたのだ。これは長寧区、上海税関、上海国検局などの協力によるもので、上海初の自由貿易試験区外の保税展示・取引試験区となる。約500平米で約1000種類の日本製品を展示販売しており、そのうち3分の1は中国に初めて入った商品となる。こうした新しい試みが行われている他、現在高島屋の隣地に北京発のSOHOという商業施設も建設が始まっている。これは高島屋と同程度の規模となる予定で、完成後には相乗効果でさらに来客数が増加することが期待されている。


■ オムニチャネルの活用


日本国内についてはEC事業を含めたオムニチャネル戦略に力を入れている。2014年度にはオムニチャネルでの売上が100億円の大台に乗っており、今年度はその20%増を狙っている。中元や歳暮のギフトでは、オムニチャネルでの売上を1店舗として考えると、日本の全店舗中で第2位という規模に育っている。
一般的に百貨店ではお中元、お歳暮の季節になると催事場にギフトのサンプルを展示し、注文を受ける場が作られる。だが百貨店を訪れず、インターネット上でギフトをセレクトする人が増えているのがこのオムニチャネルの成長の要因だ。
これを更に伸ばすために取り組んでいるのがユーザビリティの向上だ。ECを利用している人の5%が決済の前に諦めてしまっているが、その理由はシステムの煩雑さにある。これをいかに使いやすくするかが今後のポイントだと木本氏は考えている。


■ インバウンド消費と国内の成長エンジン


昨今話題となっているインバウンド消費も高島屋に大きな利益をもたらした。2014年にはインバウンドによる免税売上が140億円ほどとなったが、これは2013年の2倍の額である。今年は第一四半期で72億円を計上しているが、これは2014年同時期の3倍の額となる。インバウンド消費の内訳は中国、香港地区、台湾地区を合わせた数字が、全体の7割を占めるという。
インバウンド消費が脚光を浴びているが、日本国内にも成長エンジンはある。例えば東京都中央区の人口増だ。中央区はどちらかというとオフィス街というイメージが強いが、近年人口増が続いている。その理由のひとつはオフィスの再開発があり、もうひとつには晴海エリア等のタワーマンションの建設である。東京23区のうち、中央区は現在、最も人口増加率の高い区となっているのだという。この中央区には高島屋の日本橋店があるが、現在この店舗の再開発として現在の日本橋店の隣に新棟を建設している。これはオリンピック前年にグランドオープンが予定されている。
新宿駅の再開発も成長エンジンの一つだ。新宿駅南口の基盤整備が完成すれば新宿高島屋の側にバスターミナルを併設した駅舎や商業・オフィスビルができあがる予定となっており、成長マーケットとなることが期待されて投資が進められている。


■ 異業種とのアライアンスで新機軸を見出す


高島屋で今、積極的に行っているのは異業種とのアライアンスだ。これまでにも新事業はいくつも行ってきたが、基本的には自社内で行っていた。しかしやはり得意分野を持っている企業とアライアンスを組んだ方が、経営の効率化やスピードにおいてメリットがある。
こうした事業の一つがトランス・コスモス社と行っている日本製品のアウトバウンド事業だ。日本にある良質な商品を海外に輸出する場合、単独で進出することは難しい。そこで高島屋とトランス・コスモス社が海外マーケットに商品を提供するためのプラットホームを作っている。これに関しては日本国内から500社ほどの引き合いがあり、またASEAN各国からの問い合わせも多いのだと言う。他にも刃物メーカーの貝印とのフード&パートナーズという食品専門店事業など、多彩な展開を行っている。


■ お互いの納得を経て作り上げる一枚岩の組織


高島屋という歴史のある大きな集団をまとめる立場にある木本氏が気をつけているのは、「組織で動く」ということだ。リーダーシップも大切だし、個々人の力を高めるのも大事なことだが、組織が如何に強固であるかということも大事なことだ。木本氏の好きな言葉は「一枚岩の団結」だ。お互いが議論を通して納得し、その上で一枚岩となって一つのものに向かって進んでいく。組織を強くするというのはそういうことだと木本氏は考えている。
その団結を作り上げるための秘訣は現場の近くに隠されている。どれだけ顧客の声いを拾いそれを活かせるか。上から見ているだけではなく、現場でなくてはヒントは見付からない。現場を見ることに気をつけていないと現実と施策がずれて行ってしまうと自らに言い聞かせているのだと木本氏は語った。

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