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【特別インタビューVol.7 100年経営の会 理事長 千野 俊猛】 2016.04.07

千野氏は産業を中心とした情報を届ける日刊工業新聞社の前社長で、現在は顧問を務めている。日刊工業新聞も昨年100年企業の仲間入りを果たしたが、一体日本にこうした100年企業が多い理由はどこにあるのか。その価値を学び、顕彰する「100年経営の会」発足の理由と長寿企業の価値について理事長の千野氏にお話をうかがった。

 

■ 創業100年を超えた長寿企業の会を発足


「100年経営の会」とはすでに100年間継続している企業、これから100年を目指す企業がともに学び合う組織だ。2011年10月から運営を始め、今年で6年目となる。日本は世界でも有数の長寿企業国家だ。にも関わらず日本では長寿企業の組織が作られることはこれまでになかった。そこで100年企業の意義と教訓を伝えるために発足したのが「100年経営の会」である。
千野氏は1915年から101年続いている、日刊工業新聞社の前社長である。千野氏が社長を務めた時に日刊工業新聞社は創立90年を迎え、現社長で100周年を迎えた。自らが長寿企業となり、長寿企業の価値について議論をしていた時に、100年経営の会を作ってはどうだろうかという話が持ち上がった。


■ 3度の大震災、2度の世界大戦を乗り越えた企業たち


100年企業は現在で言うと1916年、日本では大正時代の初め以前に設立された企業であり、数多くの危機を乗り越えた企業だ。100年の間には関東大震災、阪神淡路大震災、東日本大震災、そして二度の世界大戦、さらに米騒動や世界恐慌、オイルショック、ドルショックなどの経済事件も経験している。東日本大震災という危機に見舞われた時、この会を創ったメンバーたちは長寿企業が多くの危機を乗り越えた強さとは何かということを考えるようになった。また、企業が100年続くには代替わりも経ている。どのように事業を継承し、そして危機を乗り越えたか、その歴史を学び、経営者たちが共有することには意義がある。そうした想いのもと、100年経営の会は東日本大震災の半年後に設立された。


■ 100年企業に多い業種とは


日本の100年企業には2つの種類がある。ひとつは家族経営、ファミリービジネスの企業で、これが多くを占める。一方、少ないながらも大規模なのが、新日鉄住金(旧八幡製鉄所)などの旧官営企業だ。
ファミリービジネスに多い業種は人間生活に必要な繊維、焼き物、食品といった伝統産業である。また日本では昔から国内の移動が多かったため、旅館も多い。長寿企業はこれらの事業を基礎としながら発展し、しかもそれぞれの地域の特性を保っている。
例えばトヨタは自動織機から始まり、自動車産業へと発展したし、日本各地にある有田焼、清水焼などの窯業も現代まで続いている。地域の窯業が発展して新しい産業に転換している日本ガイシ(日本碍子)などの例もある。


■ 100年企業を醸成した「日本の文明と文化」


千野氏は「日本の文明と文化が融合したことにより長寿企業は長く続くことになった」と語る。文明とは伝統産業、技術を指す。技術を伝承すると同時に新たな開拓も行うのが文明の伝承である。文化とは心であり、道である。技術と心の伝承がうまく行われれば、長寿企業となることができる。もう一つ日本で企業が長寿になれたことの一因に、内戦が少なかったことが上げられる。日本では戦国時代以降の内戦といえば西南戦争くらいで、産業が成り立たないほど国土が荒廃することはあまりなかった。 さらに政府もファミリービジネスを日本経済の基本に据えてきたが、この方針が成功したと言うこともできるだろう。

 

 

■ 100年企業を作るための3つの法則


どのような企業であれば100年にわたり継続することができるのか、100年経営の会では3つの理由を上げている。一つは創業の精神、経営理念、そして明確な理念の高い旗を掲げて守り続ける伝統がある会社であることだ。たとえ社員が数名の小さな企業であっても自分たちが社会のために存在し、社会のために頑張っていくという精神で事業を行わなければならない。そのために立派な理念を作り、朝礼などで毎回声を出して読み上げる会社も多いのだという。その理念を原則だと常に意識して事業を行っているのだ。
次が人を大切にしていることだ。この「人」に含まれる要素は従業員、顧客、取引先など多岐にわたる。例えばこの原則を重視する企業には「社員が夢を共有する」、「お客様を笑顔で満たす」と謳う企業が含まれる。
3つ目は伝統の継承と革新という相反することを同時に行っている企業だ。創業時の技術や精神を守りながら、世の中の移り変わりに対応して革新していかねばならない。「伝統は革新の積み重ねである」と語る企業もいる。「伝統の継承と革新」は俳人松尾芭蕉の言葉「不易流行」と言い換えることもできる。変えるものと変わらないもの、両方を守った経営を続けなくてはならない。


■ 欧米とは異なる日本の「ステークホルダー論」


会社とは誰のものであるのかという意識にも日本の独自性が有る。欧米では会社は株主のものであるという考え方が多い。だからもし短期で成果を上げることができなければ、経営者はとり変えられてしまう。だが日本では会社は株主ではなく社会のものだと考えられてきた。たとえ小さな企業でも社会に役に立って生きていくという理念を掲げることは多い。オーナー経営であっても会社は自分のものであって自分のものではないのだ。
こうした理論をまとめるとき、「ステークホルダー論」という言い方をする。ステークホルダーとは利害関係者のことを指す。会社における利害関係者とは経営者、従業員、顧客、取引先、そして立地する地域も含まれる。だから会社はすべての人のものだという考え方であり、つまり社会のものだということになる。
長い時を超えても、コアとなる一番大事なところを守りながら、そこから派生したものを育て、様々な外的要因に対応して会社を継続させていくのが長寿企業だ。だから継続には価値があるのだと言えるだろう。


■ オーナー経営とサラリーマン経営の走り方


長寿企業の数もそうだが、日本はその小ささにも関わらず経済規模も世界的に五指に入る。なぜこれほど経済が強いのかというと、ファミリービジネスをベースにしていること、そして世界一厳しい顧客がいることに原因がある。どんなに伝統がある会社であってもマーケットに受け入れられなければ長続きはしない。一度でも手抜きのものを作ったらその企業は終わりだ。こうして世界一厳しい顧客の目に叶った企業のみが残っていく。
企業が継続するための課題はこうしたマーケットへの対応、そして事業継承にある。千野氏はオーナー経営をマラソン、サラリーマン経営を駅伝だと表現する。サラリーマンの場合は数年間頑張って次の社長に「移していくこと」に意義がある。オーナー企業の場合には42.195キロのフルマラソンを走りきって次の世代に渡す。もし跡継ぎの息子がいなかったり、あるいは継がせるだけの器量がないときには、婿をとって跡継ぎとした。


■ 会社を継続することの価値


100年経営の会では長寿企業の良い点を話し合い、抽出し、学んでいる。日本の経済産業省が会をバックアップしているが、それは多くの企業がそれを学ぶことに価値を見出してくれているからだ。昨年からは長寿企業を多くの人に知ってもらうために、表彰制度を始めている。
日本の長寿企業は短期的に大きな利益を上げて、その企業を売却して創業者が利益を得るということは目指していない。短期的な創業者の利益よりも、事業を安定的に成長させていくということを目指す企業が長寿企業となる
100年たっても中小企業なのかと海外の人に冗談交じりで言われることもあるのだという。ただ、日本には大きいことだけが良いことではないという価値観がある。「屏風と商売は広げれば倒れる」ということわざもあるほどだ。

 

 

 

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