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【特別インタビューVol.1 株式会社ユーグレナ代表取締役社長 出雲 充 】 2015.08.10

■ 食物、化粧品、燃料、様々な可能性を持つミドリムシ


「ユーグレナ」とはミドリムシの学名だ。その名の通り、ユーグレナ社はミドリムシの商用大量培養、研究を行う企業である。
ユーグレナ社ではミドリムシを沖縄県の石垣島で培養している。ミドリムシは外敵に弱いため、それを守りながら屋外で大量に培養する技術がユーグレナの核となる。
ミドリムシを用いた商品はすでに非常に多くのものが市場に登場している。代表的なものが、青汁に含まれる野菜の栄養素に59種類の栄養素をもつミドリムシを加えた「ユーグレナ・ファームの緑汁」だが、この他にもヨーグルトからパン、クッキー、サプリメントまで、様々な商品が販売されている。ミドリムシは名前に「ムシ」とついているが実際は海藻であるため、食物に混ぜても抹茶や磯のような風味があり、様々な食品への添加が可能なのだ。ミドリムシは食物の他に化粧品にも利用されており、またミドリムシを用いたバイオジェット燃料の研究開発も進められている。


■ 出発点は「栄養失調をなくしたい」という想い


今では「ミドリムシ大好き」と述べるユーグレナ社社長の出雲氏だが、昔からミドリムシを追っていたわけではない。ミドリムシの事業を始める切っ掛けとなったのは、大学1年生の夏に訪れたバングラデシュだ。バングラデシュはアジアの小国で人口は約1億5千万、人口の半数近くの1日の所得が1ドルに満たないという貧しい国であり、多くの子どもたちが慢性的な栄養失調に陥っている。出雲氏はこの栄養失調問題を解決したいと思った。
日本に戻った出雲氏は効率的に栄養がとれる素材を探し始めた。そして3年生の時にミドリムシと出逢う。その時から現在に至るまで、出雲氏はミドリムシを追い続けているのだ。


■ 世の中に出るなら大企業と連携しなければならない


ユーグレナ社は2005年8月に創業した。2006年から500社に営業をかけ、2008年5月に伊藤忠商事からの出資を受けたことにより、これが実現した。500社という数には圧倒されるが、出雲氏はこれを苦労ではなかったと語る。出雲氏にはミドリムシが好きで、ミドリムシの可能性と技術に自信があり、いつかブレイクするという確信があったからだ。なぜこんなに素晴らしいものを伝えることができないのか、出雲氏の悩みはそれだけだった。
創業にあたり、出雲氏にははじめから、大企業と取引する必要があるという気持ちがあった。ベンチャーや中小企業との取引で少しずつ成長するという方法もあるが、世の中に広めるには大企業と連携するしかない。「ミドリムシが素晴らしい」といくら個人が言っていても信用性は薄いが、大企業が厳しい審査を通して認めたものとなれば、多くの人が信用してくれる。大企業を通して信用を勝ち取ることが大切だと出雲氏は考えていた。


■ 企業の信用がなければ長期取引はできない


次に新たな信用を勝ち取る機会となったのが、2012年12月の東証マザーズへの上場だ。ベンチャー企業が相手の場合、長い取引をすることに躊躇する大手企業も多い。なぜならば取引を開始しても、10年後にも会社が存在し、安定して取引を続けることができるかどうかが分からないからだ。だが上場することがその会社の保証となり、長期的な研究やビジネスを行うことに安心感が生まれる。上場すれば四半期ごとの決算で会社の状況が外部からも分かりやすくなるからだ。 ユーグレナ社では現在ミドリムシから抽出したバイオジェット燃料の開発を行っているが、これは10年単位の時間を必要とするものだ。上場したことにより会社の透明性が高まり、こうした長期の研究を大手企業と組んで行うことができるようになった。

 

■ それぞれの要望にあったミドリムシを提供する


一口にミドリムシと言っても様々で、分かっているだけでも100種類以上のミドリムシがある。ビタミンEが多いもの、カルシウムが多いものなど、個性は異なり、中には非常に油分を蓄えたものもいる。こういうミドリムシは特にビタミンなどは含有せず、食物には向いていない。しかし、絞るとたくさんの油が抽出される。これをバイオ燃料として利用したのが、バイオジェット燃料の研究開発だ。
出発点は栄養失調問題の解決だが、事業内容をそれだけに絞らないのが出雲氏のやり方だ。新たなチャンスを排除せずに何にでも挑戦していく。例えば、特に栄養素もなく売りが見つけられないが、水をきれいにするというミドリムシもいる。このミドリムシについては国土交通省からの受託で下水道処理にどういう貢献ができるのかという研究を続けている。100種類以上のミドリムシの中にはそれぞれの顧客のニーズに沿ったものがいて、それを見つけて培養し、提供する「ミドリムシ技術を限りなく高めた会社でありたい」と出雲氏は語る。


■ 中国、そしてイスラム圏への進出


ユーグレナ社は2015年7月、中国へ進出する。すでに3年前から台湾系の統園国際と提携し、新食品原料としての認可をとるために申請を行うなど、中国進出への準備を進めていた。この認可が2013年11月末に下りたため、満を持しての中国進出となる。進出に先立ち、すでに各種展示会に参加しているが、日本の科学技術、農産物に対する信頼感も後押しして、本当にこんないい話しがあるのかと心配になるほどたくさんのオファーが舞い込んでいるのだという。
中国以外の海外展開では、中国に匹敵する人口を有するイスラム圏にも力を注いでいる。イスラム圏でユーグレナを販売するためには、ハラル認証を受ける必要がある。ハラルとは「イスラム法で許されている」ということを示す言葉だ。ユーグレナ社は中国での食品認証申請を始めると同時に、ハラル認証の取得も進めていた。このハラル認証も既に認可が下りており、まずは社会貢献としてバングラデシュの約4000人の子どもたちの給食用にミドリムシ入りのクッキーを配布し、栄養失調をなくすための活動(ユーグレナGENKIプログラム)を行っている。こうした活動で経験を積みながら、ビジネスとしてはどのようにすればイスラム圏で受け入れられるのか、デザインや味付け、文化背景を学び、イスラム圏の市場を開拓して行く予定だ。


■ 資源はなくとも技術で世界に貢献する


ユーグレナ社の将来的目標は、2020年には中国市場を日本市場以上の規模に拡大すること、そしてバイオジェット燃料で飛行機を飛ばすことだ。2020年は東京オリンピック・パラリンピックが開催される年だ。多くの人にミドリムシ由来のバイオジェット燃料を用いた飛行機で東京を訪れてもらいたいと出雲氏は語る。
更に先の目標としてはミドリムシビジネスを始める切っ掛けとなった栄養失調状態の撲滅がある。栄養失調の子どもたちが多いムスリム圏、アフリカ諸国をはじめ世界には10億人を越える栄養失調の人々がいる。これを「ゼロにしなければいけない」と出雲氏は言い切る。
日本は資源の乏しい国だ。しかしたとえ石油を産出していなくても、ミドリムシという資源を科学技術で新エネルギーとして海外に輸出することができる。食とエネルギー、この2つの問題をミドリムシという無限の可能性をもつ藻類で解決する。それが出雲氏の夢である。

 

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